昭和40年9月に、この場所で祖父が銭湯「たちばな湯」を開業いたしました。
当時はいざなぎ景気初期で、風呂に入るのに順番待ちする程の大盛況であったようです。
銭湯の仕事は忙しく、私たちは子供の頃、父と遊んだ記憶がほとんどありません。
その父の代わりに、私たちを温かく見守り育ててくれたのは、
地域の方たちや、銭湯の常連客の方たちでした。
旅行のお土産をくれたり、おかずを分けてくれたり。
お正月にはお年玉をくださった方も、たくさんいました。
子供の頃はただ嬉しいと思うだけでしたが、自分たちが子供を持った今は、
その恵まれた環境、地域のコミュニティーに、改めて感謝しています。
しかし、時代とともに銭湯の利用者は減少し、家業を守ってきた父も高齢となりました。
父にとって、その廃業は一大決心だったと思います。
私たちは、なくなってしまう銭湯のかわりに、
この地域になじむ賃貸住宅を建てて、それを家族で守って行こうと考えました。
それが、私たちを育ててくれたこの地域への、私たちなりの恩返しだと思っています。
新しく引っ越してくる方に、地域コミュニティーの一員となって頂くためには、
長く住みたいと思える住まいづくりが必要だと、
家族でいろいろ考え・悩みました。
私たちの想いを形にしてくれる専門家の方々との出会いがあり、
全員でその想いをぶつけあって誕生したのが、
PARCO CASAです。
ここに、私たちを育ててくれたような地域コミュニティーが芽生え、
ここで育つ子供たちや、それを見守る大人たち、
住まう方みんなが安心して過ごせる場所になることを、心より願っております。
PARCO CASA 大家
田口 昌宏、田口 順功、田口 宗孝
たちばな湯/外観
たちばな湯/内観