最近では、「社中」のスタッフだけでなく、若手の移住者を「現地専門員」としてアルバイトで雇い、その技術や知識を広めている。
「集落という限定されたコミュニティに移住者がなじむのは大変。こうした鳥獣被害対策の知識があれば、地域の人と話す機会も増える」とは、山本さんがみずからの移住体験から感じたことだ。仕事として、確立できれば収入も見込める。技術をもつ”人財”は、今後も育てていく予定だ。
「自分がやってきたことを通して若い世代が地域の将来を見すえてくれるのは素直にうれしい」鳥獣被害対策は、移住者と地元住民の橋渡しになっているようだ。
山本圭介(やまもと・けいすけ)
兵庫県神戸市出身。大学院のとき野生動物による農作物の被害対策の調査で山梨県を尋ねる。その際に、「研究のために人は大勢訪ねてくるが、終わったらみんな帰ってしまう」という地元住民の言葉を受け、Iターンを決意。修了後も同地に関わり続け、活動を継続した。2013年にNPO法人「甲斐けもの社中」を設立。2013年より山梨県鳥獣被害対策専門委員委嘱。
委託元の市役所職員のみなさんと。