開く
閉じる

楽しいお部屋を探したい

「地球の恵み、温泉でキレイに」温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト 石井宏子さん

 様々な業界で活躍中の大人にインタビューする「大人の散歩道」。現在、第一線で仕事する大人はこれまでどんな生き方をしてきたのか。今も昔も変わらない大切なことを伺っていきます。  
 今回は、日本で唯一の温泉ビューティ研究家 石井宏子さんのお話です。石井さんは温泉と美の研究の第一人者。温泉に魅せられて会社を辞めた後、人生の大半を国内外の温泉地で過ごし研究に邁進されています。そんな石井さんに、温泉と美の関係や「三大美人泉質」、通の入浴方法などについて教えていただきました。

私は、「温泉ビューティ研究家」という肩書きで活動しています。もともとは、「温泉ソムリエ」の資格をとり、温泉の基礎知識を学んだところがスタートでした。そこから、当時私が働いていた化粧品の世界の知識を生かし、美容と温泉を掛け合わせた研究をはじめたんです。会社を辞めて「温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト」として活動し11年ほどが経ちますが、毎年一年のうち200日程度を温泉地で過ごしています。また、日本温泉気候物理医学会、日本温泉科学会など温泉の専門分野の学会に所属し、日々研究に取り組んでいます。

「美人の湯」「美肌の湯」の根拠を誰も説明できなかった

もともと私は、外資系ラグジュアリーブランドの会社員で、化粧品のマーケティングや広報をしていました。そもそも旅にでかけて宿に泊まることをライフワークにしていたのですが、日本の旅に欠かせない温泉への興味が深まったきっかけは、ある日新聞で「温泉ソムリエ」の記事を見つけたことでした。温泉の魅力に惹かれた私は、「温泉ソムリエ」になってからも勉強を続けていきました。そうすると、一つの疑問が湧いてきたんです。「美肌の湯」や「美人の湯」と言われる温泉はたくさんあるのに、その根拠がどこにも解説されていない。その温泉のどういう成分によってどうなるから美人になるのか、美肌になるのか。温泉地の方に聞いてもわからない。私は仕事柄、肌に対しての基礎知識はあったので、自分で調べてブログに書いていったんです。そうしたら、取材や講演の依頼が次々と舞い込んできて。「あ、これはきっと神様が、温泉と本気で向き合う気があるのか聞いているんだ」と思ってしまった(笑)。それで、会社を辞め、「温泉ビューティ®研究家」として温泉に真剣に向き合ってみようと決めたんです。

「日本温泉気候物理医学会」に入会し、理論を体系化

会社を辞めてからは、毎日のように温泉地に出掛けたり、温泉のシンポジウムや学会に足を運んで勉強しました。「温泉で会社を辞めました」と話すと、色んな方が可愛がってくださって(笑)。そんななか、温泉医学の世界で著名な植田理彦先生にご推薦いただいて、温泉療法、気候療法といった自然療法の医学会「日本温泉気候物理医学会」に入会させていただけることになったんです。学術総会では、たとえば、「この温泉で、術後のこういう患者さんの治療をしたら非常に治りが早かった」とか「この温泉は、アトピー患者のこういう治療に役立った」という研究の発表があります。私はお医者さんではないので、深くはわからないのですが、それを美容に置き換えて、「温泉ビューティ®」という理論を体系化していきました。そして、『温泉ビューティ』という著書にまとめることができたんです。

三大美人泉質

温泉は、「泉質」によって働く作用が違います。泉質は温泉のレシピみたいなもので、それが「美肌の湯」や「美人の湯」の指標になるんですね。ここでは、「三大美人泉質」と呼ばれるものとその理由をご紹介します。

三大美人泉質①「炭酸水素塩泉」→肌がすべすべになる“美肌の湯”
ナトリウム-炭酸水素塩泉は、重曹温泉。重曹はお掃除やアク取りに使いますが、温泉でも同様で、肌の汚れや古い角質を落としてくれる石鹸のような作用があります。炭酸水素塩泉以外に、アルカリ性にも同じような作用があります。

三大美人泉質②「硫酸塩泉」→肌がしっとりする“美人の湯”
乾燥が気になる、保湿したいという方に。化粧水のように肌に水分を運んでくれる泉質です。「信玄公の湯」といった、昔武将が傷を治した温泉はこれ。傷の治りが早くなるということは、保湿して肌の傷の治りを早めるということですから。武将の湯は美人の湯。

三大美人泉質③「硫黄温泉」→体の中をキレイに
硫黄には毛細血管の拡張作用があるので血の巡りを良くしてくれます。ですから、代謝を良くしたい方や疲れをとりたい方におすすめ。男性だとメタボが気になる方にも(笑)。

泉質表示は温泉地や温泉宿のWebサイトに表示されていることが多いですし、もしわからなくても、温泉宿に問い合わせれば教えてもらえます。

温泉通は、かけ湯で肌と体を慣らす

東京近郊で便利な温泉といえば、箱根です。箱根は十七湯といって色々な温泉地が集まっていて、しかも温泉地によって湧いている泉質が違います。炭酸水素塩泉も、硫酸塩泉も、硫黄泉もある。だから、箱根のなかで湯めぐりをすれば、肌も綺麗になり、しっとりして、体の巡りもよくなるというマルチな効果が期待できます。
あと、温泉で「通だな」と思われる入浴方法をご紹介すると、ポイントは、「かけ湯」。かけ湯は、運動をする前にウォーミングアップするように、これから入る温泉に自分の肌と体を慣らすという大事な準備運動の意味があります。さら湯のシャワーで体を洗ったあと湯船の温泉水をかけ湯して、心臓に遠いほうから近い方に向かって徐々に体を慣らして入る。そうすると、温泉がすごく体に馴染みやすい。通の入り方ですね。

温泉地にまで出かけることの意味

本を出した後も温泉地をずっと旅しながら研究していると、季節の移ろいやその土地の自然環境も、何か美容にいいことがあるのではないかと思えてきました。それで、今度は環境についても勉強しようと。そう思ったとき日本温泉気候物理医学会で、北大の名誉教授の阿岸祐幸先生に出会い、ドイツで行われるミュンヘン大学・シュー博士によるドイツ気候療法の研修に誘っていただいたんです。気候療法というのは、海洋性気候や山岳性気候といった自然の状態にどういう特徴があって、それを健康にどう活かしていけるかを研究する学問。私は、それを学んだことで、単純に温泉の泉質どうこうというだけではなくて、「周りにこういう木があるから」「これだけの標高がある山だから」「海の近くだから」といった環境の効果を知り、そこに湧いている温泉の恵みに加えて、わざわざ温泉地まで出かけることの意味をさらに見出すことができるようになりました。

温泉は生きている地球からの恵み

その次は、食と美容の関係をもっと知らなければと考え、ベジフルビューティアドバイザーや食養生コーディネーターなどの資格も取得。そして、今は、地球科学や地質を勉強しています。温泉が湧き出している大元である地球ってどうなっているんだろうと興味を持って。私は、日本温泉科学会にも入れていただいていて、そこには、地球科学や地質学はもちろん、たとえば温泉のなかにいる微生物を生涯研究されている先生や、水の成分を分析することで、水の起源、たとえば、何年前に降った雨が地表に出てきたとか、どこからどんな風に巡ってきた水なのかといったことを研究されている方がいます。そういうことを学ぶと、温泉というのは生きている地球から出てくる恵みであるということが見えてくるんです。

温泉と旅でもっとみんなが幸せになってほしい

今後は、「温泉ビューティ」という旅について、これまで研究したことをもう一度まとめて発表したいです。私は、家族サービスや友人とのレジャーとは違う、自分の心や体のために温泉旅行をする方がこれからもっと増えていってほしいと思っています。そのためにも、たくさんの方に、「温泉に入ることは自然や地球に癒されることなんだ」ということをより深く理解していただき、わざわざ温泉まで行くことの意味をもっと知っていただきたい。そして、これまでの研究を生かして、たとえば、温泉地での食のバリエーションやお湯の入り方、湯めぐりの仕方といった旅のプランを魅力的な形で提案していきたい。温泉と旅でみなさんがもっと幸せに、もっとキレイになってほしいと願っています。

温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト
石井宏子さん
http://www.onsenbeauty.com/

こんな話題でお悩みではありませんか?

キッチン・玄関は運気を左右する場所。風水で運気アップを!

清潔で明るいキッチンや玄関はそれだけで気持ちがいいものですが、風水を工夫すればさらに運気が...

炊飯器ひとつで本格リゾットが完成! カマンベールとベーコンのリゾット

炊飯器を開いて、お米の上にカマンベールチーズがまるごとドン!牛乳を加えてさっとまぜれば、と...

カーテンはフックをつけたまま洗えば、より手軽!

季節の変わり目にカーテンを洗いたいけれど、フックを取り外すのも面倒だし、干す場所がない……...

あなたの賃貸暮らしが豊かになるお話