僕の両親があまり季節にこだわるほうではなかったので、せっかく四季を感じられる日本で暮らしているのにもったいないなとずっと思っていたんです。それで、高校生の頃、進路を考えたときに、四季を感じられる仕事をしたいなって。そのときに初めて、和菓子という世界を知りました。もともと、ものを作るのは好きでしたから、同じように季節を感じられる料理人という選択肢もあったんですが、僕は血を見るのが苦手で(笑)。そうやって、自分でできることとやりたいことを照らし合わせて、和菓子の専門学校に通うことを決めました。
一学年30人〜40人で2クラスあった専門学校のなかで、実家が和菓子屋さんではない子は、僕を含めて片手で数えられるくらい少なかったんです。入学した時点で焦りましたね。みんな実家のお手伝いで、基礎的な技術や専門用語を身につけていましたから。スタートラインが全然違ったんですね。でも、そのおかげで必死に勉強できたのかもしれません。