2009年に仲間と作ったソマウッドは、山主に必要な手入れと見積もりを提案し、原木も材木店に直接卸すというこれまでにない試みだった。最初の3年は経営が成り立たず、バイトをかけもちしながらしのいだそうだ。けれどもやがて彼らの熱い思いは地元の人々の共感を呼んでいく。今では山主からの依頼は増え、久米さんも林業だけで妻と3人の子供を養えるまでに至った。もちろん現代の日本では人工林の管理と原木販売だけでは生き残りは難しい。そこで付加価値のある自社製品を持とうと、今年からはまず間伐材を使った薪の販売もスタートさせている。
現在は社員も増えた。立ち上げメンバーの鈴木嗣人さんや前職は造船業で三重県出身の堀出さん、写真関係の仕事を経て山暮らしを選んだ渡辺由貴子さんなど皆、都市の生活を経験した若者たちだ。
「田舎は若い人が少ないから、住むだけで喜ばれる。そこで地域に役立つ仕事を作り出せばいっそう活躍できる。田舎こそ若者が輝ける場。僕達はその前例を作りたい」と久米さん。
自分たちの手で山を守り、育てる――。若き“山守”たちの心意気に山里の期待が集まる。
チェーンソーで作業中のソマウッドのスタッフ。
昨年から出荷できなかった木は薪としても販売するように。
紅一点の渡辺由貴子さん。「自然とのつながりを肌で感じられる」と意欲的だ。